酒蔵探訪 39 2008年7月
アサヒビール福島工場
本宮市荒井字上前畑1
Tel.0243-33-4111 / Fax.0243-33-5559
工場案内係0243-34-1170
https://www.asahibeer.co.jp/
▲丸田公成 工場長長
アサヒビール福島工場は昭和47(1972)年6月に操業した。当初はサイダーの製造を行っており、ビール工場として竣工したのは7年後の昭和54(1979)年のことである。
アサヒビールは明治22(1889)年、大阪麦酒の設立にその歴史を開く。その後大阪麦酒、日本麦酒、札幌麦酒が大日本麦酒を設立、さらに大日本麦酒が日本麦酒と朝日麦酒とに分かれたのが昭和24(1949)年のことである。スタートが大阪麦酒であることから、大日本麦酒時代、「アサヒ」の商標は東北ではなかなか馴染みの薄いものであったという。昭和30年代になって、漸く「アサヒ」の商標も定着し始め、特約店の中から工場の誘致をという声が挙がり、福島工場誕生へとつながった。
アサヒビールの工場は全国9カ所にあるが、操業順では全国で6番目。福島工場で製造された商品は県内を含め東北6県、そして栃木・群馬・新潟県へと出荷される。
▲工場全景
▲見学コースの中「環境保全への取り組み」展示
アサヒビール福島工場が建つのは本宮市、五百川のほとり。現在7万4千坪、東京ドーム5.5個分の敷地を持つ。「ビール工場として操業した当初は最大生産3万8千klほどでした。それが現在は40万5千klですから、10倍以上の規模になっています」と話すのは、丸田公成工場長。工場竣工当時、福島工場に勤務し、2年前に工場長として再度福島工場に着任した。「ビール工場としてスタートした際には、まだスーパードライは誕生していませんでした。その後スーパードライがヒットし、さらに発泡酒や第3のビールが登場するなど、ビール業界も随分変わりました。福島工場はその変遷とともに歩んできたようなものです」
福島工場で製造されているのは、「アサヒスーパードライ」をはじめ「アサヒプレミアム生ビール熟撰」、「琥珀の時間(とき)」、「アサヒ本生ドラフト」、「アクアブルー」、「スタイルフリー」、「アサヒ極旨」、「アサヒあじわい」など11種ほどに上る。商品の種類が多いということは、それだけキメの細かい製造管理を必要とする。 また、アサヒビールは「鮮度」にもこだわる。新鮮なビールをスピーディにお客様に届けようと「サプライチェーン・マネジメント」を実施している。的確な需要予測と適正供給により、工場出荷から店頭に届くまでの時間を短縮。必要に応じた生産と出荷のために、工場の稼動をコントロール。夜中の操業や出荷も随時行われているという。
そんな工場の製造工程は、見学コースで誰でも見ることができる。原料の展示から仕込み、発酵・熟成、ろ過、そして品質管理に瓶詰めと、コースに沿って進めば、ビールができる工程とともに、この工場の規模の大きさや高度な技術力を知ることができる。見学の後には試飲やノベルティグッズなどのショッピングも楽しめる。(見学は随時受け付けているが、点検のための休業などもあるので、事前の予約をして出かけたい)
見学コースの展示の一つに「環境保全への取り組み」というテーマがある。アサヒビール福島工場では、「廃棄物再資源化100%」を実施している。生産過程のさまざまな部分で発生する廃棄物のすべてを再利用し、工場廃棄物は一切出さないのだ。
▲福島工場で製造される商品
「アサヒビール福島工場は、何よりも地元の皆様に愛されるビール工場でありたい」と、丸田工場長。さまざまな分野で地域への貢献も行っている。地元・本宮市や県内のイベントにも積極的に参加している他、森林保全のボランティアなども積極的に行っている。「『地元にアサヒビールがあってよかったね』と愛され、そしてアサヒビールを愛飲していただくことが、私たちの目標です」
工場見学とともに、地元で愛されているのが「アサヒビール園福島本宮店」であろう。実際春から秋にかけては、工場見学とアサヒビール園を組み合わせて昼食を楽しみ、その後観光地へと向かう観光バスが次々と訪れる。
ビールの製造・出荷を開始してから、来年は30周年目を迎える。今ではすっかり地元のビール工場として定着したアサヒビール福島工場。改めて見学させていただき、この工場が福島県にあることを嬉しく思った。
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