酒蔵探訪 40 2008年8月
キリンビール仙台工場
仙台市宮城野区港2丁目2番1号
Tel.022-259-2321 / Fax.022-258-6606
工場見学受付022-259-4263
https://www.kirin.co.jp/
▲高橋尚登 工場長
杜の都・仙台市。その太平洋の玄関口である仙台港は、東北地方の広域物流拠点としての役割を担う。キリンビール仙台工場は、その仙台港に隣接する仙台港工業団地内にある。
キリンビール仙台工場は、大正12(1923)年、仙台市小田原で操業を開始、今年85周年を迎えた。全国に11あるキリンビール工場の中でも3番目の歴史を誇る工場である。現在の工場は昭和58(1983)に竣工したもので、32万平方mの敷地には桜並木や、サギも飛来して子育てをする「野鳥の森」、ビオトープなども配され、自然豊かな工場となっている。
キリンビールそのものは、明治3(1970)年、ノルウェー出身のアメリカ人技師W・コープランド氏が横浜山手に立ち上げた「スプリングバレー・ブルワリー」にその歴史の幕を開ける。「キリンビール」という名称が生まれたのは明治21(1888)年、西洋のビールに猫や狼が多く描かれたのに対し、東洋の霊獣であるキリンを描いたのだという。
▲緑豊かな仙台工場
▲「仙台とキリンビールの85周年展示」
仙台工場ではキリンラガービール、キリン一番搾り、生ビールキリンニッポンプレミアム、キリン秋味、一番搾りとれたてホップ生ビール、麒麟淡麗〈生〉、淡麗グリーンラベル、キリン円熟、キリンのどごし〈生〉の9液種、39品種が製造され、主に東北六県と新潟県の一部に出荷されている。「福島県はお隣の県でもあり、とても近い場所だと思っています。かつては会津地方でもホップを作っていただいており、福島県にもキリンビールを愛飲してくださる方がたくさんいらっしゃって、嬉しく思っています」と話してくださったのは昨年3月に着任された高橋尚登工場長。「キリンの誇りは、その技術力だと思っています。かつては人の技で農作物の品質を見極め、ビールの味を作り上げていました。現在は自動化、機械化が進んでいますが、基本は伝統である技術力を用いて全国どこでも同じ ”キリンビール”を作り上げています」比較的若い従業員が多い仙台工場では、ビール作りの基本をきちんと伝え、技術者を育てていきたいと言う。
仙台工場を含め、キリンビールの各工場では環境への取り組みも積極的に行っている。ビール作りに欠かせない貴重な天然資源である水については、水の使用量節約や再利用、さらに水源地である蔵王山麓への植林などを行っている。また、CO2排出量削減や再資源化率100%達成など、「環境に配慮したビールづくり」を徹底している。「私達はビールを作るだけでなく、環境への取り組みや地域貢献を通して仙台工場、そして会社全体のイメージアップを図っていきたいと思っています」と、高橋工場長。「仙台に工場が存在することで、宮城県、そして東北地方の方に、キリンビールを”地元のビール”として育てていただきたいですね」
仙台工場では、ブルワリーツアー(工場見学)を行っている。ビールの原料から醸造過程、パッケージング、試飲、ショップとツアーコースをたどれば楽しくおいしく、キリンビールについて学ぶことができる。展示の中にはビールそのものの歴史についてのものもあり、また、ラガービールの歴代のラベルなど懐かしく見ることができる展示もある。さらに、特に環境を切り口とした「エコブルワリーツアー」も実施、希望によって環境ビデオ上映なども含めた約80分の工場見学に参加することができる。
▲仙台工場で製造される製品
冒頭に紹介した通り、仙台工場は今年操業85周年を迎えた。仙台工場の歴史を仙台市の風景等と合わせて紹介する「仙台とキリンビールの85周年」パネル展の開催など記念イベントも行っていた。余談になるが、仙台工場には「工場の歌」があり、作詞は土井晩翠、作曲は「君が代」を作曲した奥好義というから、改めて工場の歴史を感じる。
「キリンビアポート仙台」は、オープンカフェ風のビアレストラン。ハウスビールやビールを使った料理など、工場敷地内のレストランならではの味が楽しめる。
(営業時間11時~22時・年中無休 電話022-387-7811)
※掲載されている情報は取材日時点での情報であり、掲載情報と現在の情報が異なる場合がございます。予めご了承下さい。